豆知識
トンボの飛行術
ギンヤンマ♂のホバリング
ギンヤンマ♂のホバリング
 チョウやセミなどは前翅(まえばね)と後翅(うしろばね)を同時に動かしているので、翅が上がった時に失速してしまいます。そのために、波打つような飛び方となります。一方、トンボでは後翅を前翅が追いかけるように、つまり前翅と後翅を別々に動かしているので、常に浮力を失うことなく真っ直ぐ飛べるのです。羽ばたき回数は意外と少なく、毎秒20〜30回。モンシロチョウの10回よりは上ですが、ミツバチの200回、イエカの300回には遠く及びません。速さでは普通で毎秒5〜10mといわれ、昆虫としては速い部類に入ります。
 
トンボの寿命
短命1 ウスバキトンボ(老熟♂) 成虫ご長寿1 ホソミオツネントンボ(♂)
短命1 ウスバキトンボ(老熟♂) 成虫ご長寿1 
ホソミオツネントンボ(♂)
 最も短命なのはウスバキトンボやアメイロトンボなどの南方系種で、卵から1ヶ月余りで成虫となり、それから1〜2ヶ月で寿命を終えると考えられています。一方、長命なのはムカシトンボで、幼虫期間は南日本でも5〜6年、北日本では7〜8年と考えられています。ただ、成虫になってからの寿命は、やはり1ヶ月ほど。成虫としてのご寿命1は成虫越冬種のホソミオツネントンボで、6月下旬から羽化を始めた成虫が翌年の7月下旬まで見られます。羽化は8月上旬まで続くので、少なくとも一個体が1年近く生きている計算になります。ただし、幼虫期間は2ヶ月ほどなので、本当の一生はそれほど長くもありません。
 なお、シオカラトンボなど止水性種の多くは1年一世代型、オニヤンマなど流水性種は2〜3年一世代型で、大半の時間を卵や幼虫として、水中もしくはその近くで過ごしています。


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