シコクトゲオトンボは山間地の、木立に覆われたごく浅い流れに生息、成虫は5月中旬から9月上旬にかけて見られます。幼虫は、他の大多数のトンボとは異なり水中に入ることなく、ごく浅い流れの中で体の大半を空中に露出させて暮らしています。従って、この幼虫を網で捕獲することは極めて困難、と言えるでしょう。なお、幼虫が生息する「浅い流れ」は多少の降雨で増水することなく、逆に多少の日照りで沢涸れしてもいけません。つまり、保水力に長けた豊かな森林がトゲオトンボの仲間を育んでいるわけです。言わば、トゲオトンボは豊かな森の化身でもあるのです。
さて、いよいよシコクトゲオトンボ生息地の見つけ方ですが、実は四万十川流域では標高1000mを越える高山の渓谷から、僅か数mの海岸沿いの小流まで、どこででも見つけることができる極々普通の、というよりも数多く生息しているトンボの一つなのです。本会が把握している近隣の生息地だけでもすでに百箇所以上、正確な数は想像も及びません。とにかく、中山間地の林道であれ、国道沿いであれ、山林から生じた薄暗い流れを見つけたら要チェックです。 |