四万十川の魚
アカメの里帰り放流
四万十川を代表する魚といえば、真っ先に浮かんでくるのはアユやヌマチチブ(ゴリ)、そしてアカメではないでしょうか。
 アカメの成魚は全長1mを超える巨大魚で、幼魚時は体に縞模様がありますが、成長に伴い全身が銀灰色になります。最大の特徴は、名前の由来どおり眼が赤いこと。
そんなアカメは、夜行性でかなり臆病な性格。未だ繁殖行動も知られていないなど、生態的に不明な点が多いこともあり、全国版でも県内版でもレッドリストの高ランクに位置づけられています。ただ、本会が毎年定期的に行っているアカメ幼魚の出現調査では、年によって数に変動があるものの、必ず確認できていることから、実際は一般に思われているほど危機的状況にはないようです。
アカメ成魚 アカメ幼魚
アカメ成魚 アカメ幼魚
 さて本会では、1999年から年数回、全長数cmの幼魚を2〜3年飼育し40cmほどに育て上げた10尾ほどのアカメを地元の小学生たちなどと一緒に里帰り放流させる活動を行っています。もちろん、葛藤がないわけではありません。
 経済的余裕のない一民間団体が、無相応な犠牲を払ってまで放流用のアカメを肥育する必要があるのか、さらに自然環境では人の手も含め天敵による惨事を免れた適正数の個体がその収容力の中で精一杯暮らしているわけで、遺伝的には問題ないとしても、一旦間引きされた個体の里帰りが残存個体との過当競争を招いてしまう可能性はないのか。
 ただそれ以上に、この地で末永くアカメが暮らしていけるよう、四万十川の環境保全に対する社会的関心と意識を高めてもらいたい、という強い思いがあるのです。
放流に向け、水質合わせ中のアカメ 放流されたアカメ
放流に向け、水質合わせ中のアカメ 放流されたアカメ


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